オーストラリア、クイーンズランド州の動物保護法について(概要)

 

動物保護法:

最近発表された動物保護法(Animal Care and Protection Act 2001)とそれに伴う動物保護規定(Animal Care and Protection Regulation1991、ならびに動物保護規定(Animal Care and Protection Regulation2002がクイーンズランド州における動物への扱いを規定する。

 

なぜ新法が必要なのか?:

クイーンズランド州のコミュニティは動物の種類やその役割にかかわらず、人道的な扱いを受けるべきと期待する。

 

このコミュニティの期待に答えるため、新動物保護法2001が議会によって可決され、これがAPA1925に取って代わった。

 

主に虐待が実際に起こった後のことに焦点を当てた旧法と異なり、新法は積極的に動物のより良い福祉に結びつけるための教育に重点を置いている。しかしながら新法は動物虐待者に対して厳罰をも規定している。

 

全国的に認められている行動基準(慣例規範?Codes of Practice)を取り入れながら、新法はまたクイーンズランドの動物産業や動物使用者グループに対しても、動物の扱いが一定の水準を満たしているかの判断基準となる。

 

新法の目的:

     責任ある動物のケアや使用方をプロモートする

     動物のケアと使用方のあるべき水準を提供する

     動物を虐待から守る

     科学実験目的に使用される動物への福祉を守る

 

新法がカバーする動物の種類

すべての(人間を除く)脊椎動物。これは以下の目的で使用されるすべての動物を含む

     科学的実験や教育

     食料や繊維(Fibre)の生産

     エンターテイメントや展示

     レクリエーションやスポーツ

     話し相手(Companionship

     仕事

     野生動物、野生化した動物や害獣を含む

 

誰が新法を執行するのか?:

第一次産業省が家畜検査官や動物担当官、またRSPCAを通じて行う。警察官もまた動物虐待の苦情に対応することができる。

 

違反と禁止行為:

 

自分が所有または責任を持つ動物に対して、基本的な福祉の給与を怠るのは法律違反である。この動物への配慮義務(Duty of care)とはその動物に十分な食料や水、住む場所や生活環境、病気や怪我の際の治療などを与え、適正な取り扱いをし、その動物が正常な行動をとるようにすることである。

 

動物を虐待することは犯罪Offence である。

 

禁止行為は、組織的な闘犬や闘鶏を含む。また、それらを主催したり参加したりするものにも罰が適用される。

 

動物への外科的処置は、その動物のために獣医が行うのでなければ違法である。これは、馬や家畜の尾を切断すること(tail docking)、犬の耳の刈り込み(Cropping), 猫爪の削除(De-clawing)を含む。

 

罰則:

この法律は、重い罰金及び・もしくは実刑を規定する。動物虐待と認められた個人は最高75千オーストラリアドル(約480万円)または最高2年の実刑が適用される。企業による虐待に対しては、罰金は個人に対しての5倍までが可能である。

 

 

 


オーストラリア・クイーンズランド州

 

動物保護法2001

20023月施行)

 

動物への責任ある配慮とその使用方を奨励し、動物を残虐な行為から保護するため、及び他の目的のための法律。

 

第一章       − 序章

第一項       − 序論(introduction

 

1. 短題

この法は動物保護法2001と称される。

2.開始

この法は公布日をもって開始とする。

 

第二項− 法の目的と適用

division 1 – 目的

3.法の目的

この法の目的は以下のことを行うこととする

(a)    責任ある動物への配慮と使用を奨励すること

(b)    動物への配慮と使用の基準を提供する。それは

(i)     動物への福祉と、その動物に生活を依存している人間の利益の適切なバランスを達成する

(ii) 動物生理の科学的知識を進歩、発展させ、同時に動物を関与させる行為へのコミュニティの期待の変化にも対応する

(c)     動物を、正当化し得ない、不必要な、または理由のない苦痛から守ること

(d)    科学目的の動物の使用を、説明のつく、オープンで責任あるものにすること

 

4.どのように目的を第一に達成するか

これらの目的は以下の方法によって一次的に達成される

(a) 動物福祉の行動基準(慣例規約?Codes Of  Practice)を提供する

(b) 規定が行動基準(慣例規約?Codes Of  Practice)に従うよう要求できるようにする

(c) 動物の占有者に、動物への配慮義務(Duty of Care)を負わせる

(d) 動物に関する特定の行為を禁止する

(e) 動物を科学目的に使用する人間が、科学目的の行動基準(慣例規約?Codes Of  Practice)に従うよう要求する

(f) 動物を科学目的に使用する者に登録を実施する

(g) 担当官を任命し、行動規範が遵守されているかどうかを監視させる

(h) 監察官を任命し、調査の上、この法を執行させる

(i) 大臣に動物福祉諮問委員会または他の組織を設置する権限を与え、動物福祉問題に関して大臣にアドバイスできるようにする

 

Division 2 − 適用

 

5.法はすべての人間を拘束する

(1)6項と8項に従って、この法はすべての人間を拘束する。これは州内や、議会の立法権限が及ぶ限りにおいて、連邦国家や、他の州も含む。

(2)しかしながら、連邦国家または州が、この法に対する違反行為によって告発されることはできない。

6.州の保護動物や野生動物への適用

この法は次のような場合のためだけで州には適用されない

(a)    自然保護法1992によって保護される動物あるいは野生動物であること

(b)    同法、あるいは他の法、あるいは慣例法によって規定される動物であること

 

7.他の法との関連

(1)この法は、以下の適用を左右しない

(a) 漁業法 1994

(b) 自然保護法 1992

(c) レースと賭博の法 1980 (The racing and betting act

(2)(1)によって規定された行為を合法的に行う者は、この法への違法行為を働いたとはみなされない。

(3)しかしながら、(2)は科学目的に使用される場合は適用されない。

 

8.アボリジニーの伝統と、島民の習慣

(1)この法は、以下の場合は適用されず、または効力を持たない

(a) アボリジニーによってアボリジニーの伝統に基づく行為

(b) トーレス海峡の島民によって、島の習慣に基づく行為

(2)しかしながら、規則によってある行為が条件によって制限されている場合、その条件を満たした場合のみ上記(1)が適用される。

(3)Statutory Instruments Act 1992432項で、(2)を規定する規則が提出されており、それによってそれらのコミュニティに何らかの負担を課される可能性が高い。

 

9.法は他の権利や救済法(remedies)に影響を与えない

(1)この法は、この法以外に存在する権利や救済法―慣習法であれ、何であれーには影響を与えない。

(2)(1)を制限することなく、この方を遵守することがこのほう意外に存在する義務を満たしている、あるいは違反していないことを必ずしも認めることではない。

(3)さらに、この法によって定められたDuty Of Careを冒すことが他の義務を怠っているとするものではない。

 

第三項− 解釈

Division 1 – Dictionary

 

10.定義

このDictionaryはこの法で使用されている特定の言葉を定義する。

 

11.「動物」とは何か

(1)「動物」とは、以下のものを指す

(a) 生きている脊椎動物の仲間に分類されるもの

例:両生類、鳥類、魚類、人間以外の哺乳類、爬虫類

(b) 妊娠後期、あるいは成長後期の、生きた誕生前の生き物

(i) 哺乳類または爬虫類の胎児

(ii) 鳥類、哺乳類、または爬虫類の、孵化前の若い子供

(c)     生きた有袋類の子供

(d)    生きた無脊椎動物または頭足動物(例: 蛸、烏賊)、軟甲類のある成長段階にあるもの(例:蟹、伊勢海老、海老、ザリガニ)

(2)しかしながら、人間やその胎児は動物ではない。

(3)疑念を払拭するため、以下のものは動物ではないとする

(a) 魚の卵

(b) 1bまたは(c)に言及された生物以外の、誕生前の生物、幼虫、または孵化前の生物

(c) 1bまたは(c)に言及された生物以外の、成熟していない段階の生物

 

12 「動物に責任を持つ者」(a person in charge of an animal)の意味

(1)      以下の場合は「動物に責任を持つ者」である

(a)    動物を所有、または賃貸、ライセンス等の営利的な利益を動物に持つ者

(b)    動物を保護監督(has the custody)している者

(c)     動物を保護監督している誰かを、動物を保護監督することを条件に雇用、あるいは関与させている者

(2)(1)(a)にもかかわらず、動物を抵当にしたり、その他の金銭的利益の対象にする者は、抵当権や他の金銭的利益を執行しようとする段階でのみ、動物に責任を持つ者となる。

 

第二章 − 慣例規約 (Codes Of  Practice

 

13.慣例規約の作成

(1)動物福祉に関する慣例規約を、規約が作成できる。

(2)(1)を制限すること無しに、慣例規約は以下のものについて作成されることができる

(a) 動物への配慮、飼養(Care)と扱い

(b) 動物の使用

(i) 伴侶として、または

(ii) 商業目的、エンタテイメント目的、リクレーション目的、科学あるいは他の目的、または

(iii) 次の目的 

水族館、Boarding Kennels, ペットショップ、テーマパーク、動物園

(c) 動物への医学的または外科的行為

(d)    動物への電気器具の使用

(e)    食肉用、他の動物の輸送

(f)     屠殺場及び人間の消費のための動物の準備あるいは扱い

(g)    動物を罠にかけること

(h)   42項において野生化した、あるいは害獣とみなされる動物のコントロール

(i)      養殖あるいは食肉の製造

 

14.慣例規約によって承認された書類の検査と審議

(1)次の場合にこの項が適用される

(a) 慣例規約によって、全体あるいは一部を承認、適用、あるいは採用された他の書類(採用条件 the adopted provisions) 

(b) 採用条件は規約の一部ではないこと

(2)大臣は、規定が公示されてから14日のsitting days 以内に、立法機関(the Legislative assembly)にthe adopted provisionを提出しなければならない。

(3)もしadopted provisionsが改正されたなら、大臣は改正後14日のsitting days以内にthe Legislative assembly にそのprovisionsを提出しなければならない。

15.慣例規約に従うことを、規定が要求する可能性がある。

16.裁判での慣例規約の使用

(*15,16の詳しい訳は省略)

 

第三章 − 一般的な違法行為( General  Animal Offences

第一項       ― 飼養義務不履行(Breach of Duty of Care

 

17       飼養義務不履行の禁止

1)動物の所有者(a person in charge of an animal)はこれを飼養する義務を負う。

2)飼い主は、飼養義務を怠ってはいけない。

最高刑罰:300ペナルティ・ユニットまたは1年の懲役

3)2)では、以下のような場合に義務を怠ったものとみなす。

(a) 次のような動物の要求を適正な方法で満たさない場合

i)食物と水

ii)動物の住居または生活環境

(iii) 通常の行動(to display normal patterns of behaviour)をとらせること

(iV) 病気または怪我の治療 または

(b) その飼い主による動物の扱いや、その飼い主によって起された扱いが、どんなものであれ適正であること。

 

(4)何が適正かを決定する際、以下のことが判断の対象となる

a)その動物の種(species, それを取り巻く環境や状況

b)常識ある人間が、その状況においてとるであろうと期待される行動をとったかどうか

              (4)(b)の「状況」の例

              ・ 森林火災や他の自然災害

              ・ 洪水や他の気候的条件

 

第二項 − 虐待 (Cruelty Offences

 

18       動物虐待の禁止

(1)   人間は動物を虐待してはいけない。

最高1000 penalty units (75,000オーストラリアドル) または2年の懲役

(2)   (1)に限らず、以下の行為に及んだ人間は、動物虐待をしたものとみなす

 (a)不当に、不必要に、正当な理由なく動物に苦痛を与える

(b)動物に苦痛を与える程殴る

(c)虐待(abuse)したり、恐怖を与え、苦しめたり心配させたりする

(d)overdrive, overrideまたは過度な労働を強いる

(e)動物法で定められた電気器具を使用する

(f)以下のように閉じ込めたり移動させたりする

i)適切な食物や休息、住まい、水を与えず

   (ii) 閉じ込めたり移動に動物の体調が適さないとき

  (iii) 動物のために適正ではない方法で

    例:・少なすぎる、または多すぎる他の動物とあるいは一緒にするべきではない動物と、閉じ込めたり運搬する

・動物に適切な休憩を与えること無しに

      

  (iv) 適切ではない入れ物や交通手段で

(g) 以下のような方法で殺すこと

  (i) 非人間的 または

  (ii) すぐに死なないように

  (iii) 理由なく苦痛を与えながら死ぬように

(h) 不当に、不必要に、理由なく

  (i) 傷つけること

    (ii) 過密な状態に放置したり、積み過ぎること

 

19       不当な遺棄(abandonment)、または放棄(release

(1)       動物の所有者は、正当な理由や、遺棄や放棄が法律で認められている場合以外は遺棄や放棄をしてはいけない。

‐ 最高300ペナルティ・ユニット(22,500オーストラリアドル)または1年の懲役

(2)       正当な理由がない限り、動物の所有者からその動物をリリースしてはいけない。

‐ 最高300ペナルティ・ユニットまたは1年の懲役

(3)       このセクションでは、「遺棄」とは不当な期間中その動物を放置することも含む。

 

 

第三項 − 禁止事項(Prohibited Events

Division1 - Preliminary

 

20 「禁止事項」の意味

(1)「禁止事項」とは、次に当てはまるものを意味する。

  (以下要約)闘牛、

闘鶏、闘犬など、動物を他の動物を戦わせるもの、あるいは動物に他の囚われた動物を殺させるもの、囚われた動物を開放し、それを人間が銃で撃つなどするもの、動物に苦痛を与える形で行われる一般市民への見世物など

また、このようなイベントを主催すること、参加すること、禁止されたイベントに動物を差し出すこと、このようなイベントのために会場を提供することなど、すべてしてはならない。違反者は、最高300ペナルティユニット(22,500オーストラリアドルの罰金)あるいは1年の懲役。また、禁止されたイベントの場にいた者は、正当な理由がない限り、150ペナルティユニット(11,250オーストラリアドルの罰金)または1年の懲役。

 

4項外科的行為の規制

Division 1 犬を対象とした行為の規制

 

23 犬の耳の切り取りは獣医がその犬のためになると判断したとき以外はやってはいけない。このCropとは、耳が立つようにその一部を切り取る行為を言う。

罰則 − 最高100ペナルティユニット

 

24 犬の尾を切ることは、獣医がその犬のためになると判断し、法律にのっとった形以外ではこれをしてはならない。

罰則 − 最高100ペナルティユニット

 

25 獣医以外の者は、犬の鳴き声を小さくするための手術を施してはいけない。(Debarking Operation

罰則 − 最高300ペナルティユニットまたは1年の懲役

獣医は、その手術がその犬の福祉に役立つか、鳴き声が迷惑との適正な苦情が寄せられた場合、手術が唯一の解決方法と判断したときにのみ許される。

罰則 − 最高300ペナルティユニットまたは1年の懲役

 

Division 2 − 他の動物への行為の規定

 

26       猫の爪の削除は、獣医以外はしてはいけない。獣医はその手術がその猫の福祉に役立つと判断したときにのみ許される。

罰則 − 最高300ペナルティユニットまたは1年の懲役

 

27       家畜や馬の尾を切ることは、獣医以外はこれをしてはいけない。また獣医はそれがその動物の福祉に役立つと判断したときのみ手術をゆるされる。

罰則 − 最高300ペナルティユニットまたは1年の懲役

 

 

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以下、犬を他の動物を傷つけたり殺す目的でけしかけてはならない(最高300ペナルティユニットまたは1年の懲役)、動物をしとめるための罠を所有してはいけない、(最高300ペナルティユニットまたは1年の懲役)、動物を傷つける、または殺す目的で毒物を与えたりまいてはいけない(最高300ペナルティユニットまたは1年の懲役)、などが規定されている。また、科学目的の動物の扱いもこまかく規定されている。

 

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